審査員の独り言
第4回 現場では不適合が発生していない?
建設会社、特に官庁土木工事を主として施工している会社がISO9001を取得する例が増えている。このような会社に審査やコンサルティングをしていると、
「現場では不適合は発生していません。規格値の範囲内の出来高寸法の建設物を発注者にお渡ししています。コンクリート強度や土の締固め強度も基準値以下ということは一切ありません。」という回答をいただくことが多い。
そして、「従って是正処置をして再発防止をする必要は当社にはありません」
という回答になる。
私は、次のようなことはないですかと問いかける。
「社員の測量ミスで、構造物を作り直したことはないですか」
「コンクリートの配合を電話で言い間違えて、生コンを返品したことはありませんか」
「協力業者に図面の変更を伝え忘れて、鉄筋を組み直したことはありませんか」
もし、このようなことが現場で発生しているとすれば、それこそが「不適合」である。
その内容を記録し、再発防止のための処置を取る必要がある。なぜなら、これらのことが、工期が延びたり原価を圧迫する原因になり得るからだ。
いわゆる「出来高検査」とは不適合が発生していても、その手直しをすませた後の行為、つまり「出来高確認」にすぎない。ISOを「軽く」取得したいという思いが強すぎると、会社に潜在する真の問題点を解決することができなくなる。ISOをうまく活用すると、必ず儲けることができる。ISOを儲けるツールとして活用したい。
writer
降籏 達生 (土木屋・技術士)
主な仕事
ISO取得支援/ 技術支援/ 経営支援
カンタンプロフィール
マラソンが趣味。声が大きい!
若手・中堅現場マンのプロへの道
第4回 人を動かす
あなたが困ったとき、どれだけの人が助けてくれますか。そしてどれだけの人を動かすことができますか。
現場が急に忙しくなったり、人手が欲しいけど人材が確保できない。工期も迫ってる。会社に相談しても解決のメドも立たない。こんな時プロの主任や所長ならどうするでしょうか。たぶん、自分の人脈パワーに頼るほかないはずです。
人脈パワーとは、人間関係の積み重ねです。“現場のプロ”になるほど、広く厚い人間関係ができてきます。相手が困っている時、面倒がらずに手伝ったり、応援したから広く厚い人間関係ができたのです。つまり、「思いやりと面倒み」が相手に伝わったのです。人手不足の今日、これを積み重ねてこなかった主任や所長は、協力会社から見捨てられているはずです。プロを目指す人は、今からでも人脈を広げるべきです。
でも「思いやりと面倒み」があっても、信頼される人格を持ち合わせていないと意味がありません。現場マンの人格分類をしてみましょう。
Aタイプ:「あの人は人を使うのが上手だ。現場も明るく、活気に満ちている。」
Bタイプ:「あの人は仕事熱心だけど、現場ではみんなの動きがばらばらだ。人の気持ちを理解するのが苦手。」
Cタイプ:「あの人は世話好きだけれど少しおせっかいなところがある。人が良くて好かれるのだけどおっちょこちょい」
Dタイプ:「あの人はいつも何やっているのかわからない。黙々と仕事しているけど暗い。」
もちろんAタイプが望ましいプロの現場マンです。Bタイプは専門職に向いているでしょう。Cタイプは人間関係調整役、Dタイプは現場を任せるには不安です。
リーダーシップを発揮するには、Aタイプを目指しましょう。“人を動かす”ということは頼んで動いてもらうのではなくて、日ごろの「思いやりと面倒み」に感謝されて、この時とばかりに周りが力を貸してくれることではないでしょうか。
いささか古いのですが、ドラマ「太陽にほえろ」のボス、「コンバット」のサンダース軍曹、「明日があるさ」の浜田課長のような熱く人情豊かなリーダーを目指そうではありませんか。そうすれば自然と人はついてくる!!
writer
三浦 規義 (建築屋・VEL)
主な仕事
VEコンサル/ ISO取得支援
現場は宝の山
私は、どちらかと言えばきれい好きである。しかし最近まで、自分の部屋が非常に汚かった。とは言っても、決してグズグズの生活だったわけではない。そしてある時、気づいたのである。『忙しいと、部屋が汚くなってしまう』ということを。
ついでながら、私は、お気に入りのTV番組を欠かさず録画している。これまた、1週間忙しいと、1週間分のビデオテープがたまってしまうのである。当たり前といえば当たり前の話であるが、『事実』として気づくことが大事である。
さて、私が今の住居に引越しをした際、こんなことがあった。私は日課として、毎朝散歩をするのであるが、犬を連れた人によく出会うのである。最初は、「何だか犬好きな人が多いな」などと考えていたのであるが、ある時、こんなことに気づいた。『この辺は、住宅地で、かつ、一戸建てが多いのだな』と。というのも、今時マンションなんかで犬を飼うのは無理なようだし、また、犬を散歩させている人で、女子高・中学生らしき人をよく見かけたからである。これらは、『事実』に基づく『原因の特定(推測)』である。
さて、またまた話は変わって、最近某企業様をお訪ねした。そこは40年の歴史を持つ会社だったのだが、20年前からのすべての物件(プロジェクト)の記録が残っていた。そして、それらを今でも再利用(仕事で閲覧)されているというお話であった。
おそらく、業務上で記録を残すことの重要性を社長自ら痛感され、『是正処置』として全社的に記録を残すことにしたのであろう。少なくとも、20年前に「記録を残そう!」と決意(是正処置)しなければ、20年間の記録は残らないものである。
『事実の確認』→『原因の特定』→『是正処置』。何も難しい話ではない。そして、このサイクルの確立こそが、会社存続の、あるいは個人のスキルアップの重大なポイントであろう。まずは、事実を的確に把握することである。『身の丈にあった事実の確認』が、『身の丈にあった改善』へとつながっていく。
そうした意味で、現場は宝の山である。現場を一目見れば、会社の実情がわかる、とはよく聞かれる言葉であるが、きっと、是正処置につながる宝(事実)の山をほったらかしにしているかどうかがわかる、という意味なのだろう。
writer
小林 俊文
主な仕事
ISO 取得支援
情報技術(IT) / 導入相談・支援
カンタンプロフィール
スポーツ好き
ISO認証取得物語
第2回 推進スケジュールの決定
ISO認証取得準備において、各企業共通の問題点が考えられる。
1つは、推進メンバーの選出であり
2つ目は、推進委員会の開催日・時間の決定である。
推進メンバーの選出については、「業務経験がある程度長く、社内全般の業務内容が把握できている人」でなければいけないと言われ、はたまた、将来を考えると「若手社員の中でリーダーシップのある者が最適だ」とも言われる。 推進委員会の開催日・時間の決定については、業務内で考える場合と、業務外作業と考える場合の2通りある。
ここでわが社の場合、創業35年、少数精鋭主義の社員数45名の建設コンサルタントである。組織は中小企業にありがちな逆ピラミッド型の年齢構成であり、平均年齢が非常に高い状況である。
42歳以上35名、20〜28歳10名(内、女子社員6名)であり、業務内容を把握している者を選出となると、当然推進委員になるのは全員42歳以上の中年社員であった。
40歳を超えると、普通の人間であれば記憶力がにぶり、新しいことはなかなか覚えにくく、IT技術には弱く、「気持ちはあれども頭と体がついていかない」というのが現状である。正に全員42歳以上の推進委員メンバーにピッタリの状況である。前途多難なISO認証取得物語の始まりであった。
しかし、捨てる神あれば拾う神もあるものである。推進委員会の開催については、社長の信念でもある「業務における公私の区別は明確に」と言う考えから、業務の一環として就業時間内で行うことが基本となった。 通常業務に対する進捗率への影響あるいは、認証取得に対する経費の問題等から、就業時間外で行う会社が多い中、唯一のうれしい時間設定であった。
ただ、この点についてはトップマネジメントの考え方であり、会社の方針でもあるから、推進委員会としてはどうすることもできない事項である。希望を述べるだけである。
とにかく、推進委員会開催の時間も決まり、月2回の主会合の概略予定もたち、ISO認証取得活動が始まることとなった。 推進委員、各自の予定表に主会合日程を書き込み、認証取得に向けての意気込みをも感じた一瞬でもあったような気がする(今から思い起こせば)。
されど、これから一年間、苦しい思いが続いたのである。
writer
山本 寛 (技術士)
主な仕事
ISO取得支援
カンタンプロフィール
「頑固者」!と人は言う
お客様を選ぶことは悪いこと?!
先日、あるデザイン重視の住宅会社で営業マンから聞いた言葉です。「うちの設計は生意気です。普通の住宅(何を普通と言うかは謎ですが)を望むお客様は、うちのお客様ではないというのです。このお客様が激減している時代に何を考えているのでしょうね。」
さて、設計士、営業マンどちらが正しい言い分なのでしょうか。
〜 例を出します 〜
あなたは
1.親友から醤油ラーメンがおいしいと紹介され、そのラーメン屋さんに行きました。
2.実はあなたはスパゲティが好きで、「麺類だから同じだろう」と考えメニューに無い
「ナポリタン」を注文します。この注文は通るでしょうか?
3.仮にその注文が通り、親父さんが一生懸命作ってくれたとします。
4.そのナポリタンは醤油ラーメンと同じくおいしいでしょうか?
5.ナポリタンを食べたあなたはその親父さんの努力を認めますか?
6.そして紹介してもらった人と同じように、「あそこのラーメン屋は美味しいよ」と
人に紹介しますか?
〜このようなことを行ってください〜
優秀な建築設計士に「あなたが得意とする建物は?」と聞いてみてください。
「私は住宅を専門とし、中庭がついたコンクリート打放しのオープンなプランかつシンプルなデザインが得意です」(例)と、明確に答えるはずです。(得意分野が多い少ないは別にして、これが答えられない設計士はニセ設計士ですのでご注意を)そして、設計士は自分の得意スタイルを崩して設計することは命取りになることを知っています。
〜最初の話に戻ります〜
私がお話しをうかがった住宅会社と例に出したラーメン屋さんとは大きな違いがあります。住宅会社は実際にあったこと、ラーメン屋さんの例は起こり得ないことです。さて、お時間があったら次のことを有志の皆さんで話し合ってみてください。
1.この住宅会社とラーメン屋さんは根本的に何が違うのか。
2.上記をふまえたメディア(ホームページ・広告・セールストーク、手法)について
3.わが社の状況はどうか?今後はどうしていくのか?
大事なことを忘れていました。
「あなたの特徴は何ですか?」
writer
井手 徹 (建築屋・建築士)
主な仕事
情報化支援/ISO取得支援
カンタンプロフィール
オフはバイク乗り。凝り性