審査員の独り言
第5回 常雇払いは不適合
現場担当者が月々行っている作業に、協力会社からの常雇伝票の査定があります。現場で発生した「見積外作業」を精算するのです。
協力業者の親方は何とかかかった金額を取り返そうとがんばるし、現場担当者は抵抗します。しかし、最終的には現場担当者が押し切られて支払うことが多いのです。そしてこのことが、実行予算を守れない大きな原因となっています。現場予算に余裕があったころは問題にならなかったことですが、発注単価が下がっている現在では、企業の命取りにもなっています。
現場がこのような状態になる理由は二つあります。一つは取り決め条件がいいかげんなこと。一つは現場担当者が現場で実際にミスをしているということです。
一つめの取り決め条件を、協力業者への発注前に決めるということはISO9001規格要求事項でもあります。しかし、その内容にはISO規格で求めていることに加えて最低「安全管理作業」「小運搬作業」「測量作業」「手直し作業」等の責任分担を決めておくことが必要です。
次に、現場担当者が現場で行うミスとは、指示ミスによる手直し、手待ち、手戻りがすべてです。必要資材の注文忘れ、数量不足、発注者とのコミュニケーション不足などなど数えだすときりがありません。
建設会社にISO審査に行くと、工事部長さんは当社の現場には問題がありませんとおっしゃいます。しかし、審査を進めていくと発注条件書には上記の記載がなく、また、現場担当者のミスに対しても是正処置がとられていないことが大半です。せっかく苦労してISO9001を取得しても、これでは常雇払いがなくなりません。ひいては現場原価は厳しくなる一方です。
現場の問題点をISOというツールを用いて一歩一歩改善していきたいものです。
きょうは是非、ご家庭で環境のお話をお子さんとしてみてください。
writer
降籏 達生 (土木屋・技術士)
主な仕事
ISO取得支援/ 技術支援/ 経営支援
カンタンプロフィール
マラソンが趣味。声が大きい!
若手・中堅現場マンのプロへの道
第5回 前向きな姿勢(1)
経営者に対してよく「常につま先で立て。かかとを地につけるな」と言う言葉があります。これは、前向きに経営の舵をとりなさいという言葉のたとえです。
現場のプロは、現場の経営者です。現場にとって必要なことを常に前向きに探し求めなければなりません。
現場にとって求められているものは何でしょうか。「早く、安く、安全に、満足のいくものをつくること」この程度なら誰でも答えられるでしょう。前向きな現場マンなら「次の工事を受注するための布石だ!」「この新工法をマスターして自社の工事領域を広げることです」と答えるでしょう。
会社、施主、技術、現場そして自分とのつながりが理解されていなければ具体的に答えられません。そのために、評価、決断、説得、遂行の4つが大切です。
たとえば、仕事の流れを考えてみましょう。その中には同じような考え方や行動があるはずです。人から聞いたこと・見たこと、自分で考えたことを頭の中につめ込んで、仕事で必要な時にその情報をいかすのです。また、「この方法はいけるぞ」と自信を持ったとき、上司に提案し、それを実施するための許可を得るために社内をかけずりまわり、実施することとなれば、それをやり遂げるために全力をそそぐでしょう。
このように見てみると、仕事の中で重要で基本的な能力が絶えず働いているような気がします。この重要で基本的な能力を見つけ出し、自分自身を鍛えていくことがみずからの実力アップにつながっていくはずです。明日の自分のために、来年の自分のために。
writer
三浦 規義 (建築屋・VEL)
主な仕事
VEコンサル/ ISO取得支援
データは雄弁である
私の家は、ケーブルTVを引いている。ケーブルTVには、一日中天気予報を流しているチャンネルがある。お天気に関するネタは限られているのだが、クラシック音楽がつねに背後で流れており、TVをつけっぱなしにしていても邪魔にはならない。
さて、そのお天気ネタの中で、月ごとに過去30年間のお天気の統計が出てくる。毎月、どの日が良い天気なのか、あるいはグズつくのかが一目でわかる。少し前の話になるが、秋に結婚式を挙げるなら、11月の月末が良いそうである。
先日、ある人からこんな質問をされた。「交通事故を起こした加害者が入る刑務所内での平均年齢はいくつぐらいだと思われますか?」。よく聞いてみると、意外にも平均年齢は高いそうである。事故を起こすのは若者が多いと思っていた私は、少し驚いた。
そして、理由を聞いて、なるほどと思った。実は、若者が事故を起こした場合、加害者側も亡くなることが多いからだそうだ。亡くなってしまっては、刑務所にも入れない。事実(データ)を正確に分析すると、意外なことがわかるものである。
こんなこともあった。私がソフトウェア技術者だった頃、よく指摘されたのがデスクワークの重要性である。ソフトウェア技術者というと、朝から晩までコンピュータの前に座って仕事をしているというイメージがわきがちだが、とにかく、デスクワークによって仕様書さえキチンとできあがれば、ソフトウェア開発は80%できあがったのも同然である!というのが、当時の社長の持論であった。
私は、いちいち書かなくても、すぐにマシンの前で仕事を進めた方が早いのではないか?と何度も思ったものだが、社長方針である以上従うしかない。やがて、仕様書のできばえいかんで、工数にも製品品質にも圧倒的な違いが出ることに気づくことになる。それ以後、納期までの工数とデスクワーク時間との相関に関し、データ分析を行ってみたが、やはり社長の持論を証明する形となった。
データ分析によって、思いもよらぬ相関に気づくことがある。また、データ分析は、主張を裏付ける確固たる証拠にもなる。今日の天気を日報に記述するだけでも、データ分析は可能である。最小限で最大限の結果を得るために、ぜひ身近なところから、始めてほしい。この世の中、「労少なくして、幸多し」が、なによりなのだから。
writer
小林 俊文
主な仕事
ISO 取得支援
情報技術(IT) / 導入相談・支援
カンタンプロフィール
スポーツ好き
ISO認証取得物語
第3回 苦しい思いの一年間の始まり
認証取得推進委員会主会合:月2回(会議時間おおむね5時間)
認証取得推進委員会副会合:月2回(会議時間おおむね2時間)
これが一年間でISO認証取得をめざす場合の各企業における一般的な予定だそうだ。会議開始の時間については、主会合が13:00 副会合は17:30と決められた。一般的であろうがなかろうが、認証取得委員は何も知らないため人から言われるがままに種々の事が取り決められていった。
わが社の就業時間は8:45〜17:15であるため、実質業務に支障をきたすのは月2回の主会合だけである。それならば業務進捗状況には何ら影響はないなと皆思ったに違いない。しかし業務時間中に主会合を開くため、業務を行っている同僚に対してはなんとなく「後ろめたさ」を感じる会議でもあった。業務を行っていないということは、ISOを何も知らない者からは「遊んでいるも同然」と思われていたからである。
さらに取得推進委員長に選ばれた私には、「推進活動のまとめに時間が必要である」と、週1日の準備時間を与えられた。このことが、当初何も気付かなかった私にとって、月日がたつごとに私を苦しめていく結果となった。
準備期間の最初(1〜2ヶ月)の頃は、初めて見る非常に理解し難い文章構成であるISO規格書の精読・把握であった。
この頃の私のISO活動は、主会合記録をまとめたり、副会合での内容を主会合記録と整合性を取るため推進委員の考えを調整し、主会合への準備を行うだけの認証取得へ向けての活動であった。ISOに関しての1週間の活動は、1日は資料まとめ、1日は主会合あるいは副会合の2日間だけのものであった。これまでと毎日の業務はさほど変わらないため、ISO認証取得に取組む緊張感というものは、ぜんぜん感じていない状況で、ISOの学習意欲にも欠けていたような気がする。
しかし、ISO規格書の精読・把握が終わり、わが社の品質マニュアルの作成段階に入ると、がぜん忙しくなったのである。何もかもすなわち、認証取得委員の担当する業務も、ISO活動も、私自身の業務もである。この時、取得推進委員長である私は、当初からのISO認証取得活動に対する社内での冷たい視線が、一挙に私に向けられたように思った。「この忙しい時にあいつらは何をやってるんだ。仕事もしないで。」「ISO認証取得は本当に必要なのか。」という声も聞こえたような気がした。
writer
山本 寛 (技術士)
主な仕事
ISO取得支援
カンタンプロフィール
「頑固者」!と人は言う
よい所の発見
日に日に寒くなるこの頃、いかがお過ごしでしょうか。現場で働く皆さんは安全管理に十分気をつけてください。特に朝が危険です。足場が凍結しているうえに、体が目覚めていないので、転落事故の可能性があります。以前私は、冬の寒い朝に屋根から転落したことがあります。さいわい2×4の住宅だったため、約3mの落下ですみましたが。
さて、今回はよい所の発見についてです。
先日お客様より「あなたは企業の欠点の発見能力がすぐれていますね」と言われました。大変うれしいことです。しかし、これは当たり前のことなのです。その理由は1.我々は組織の外から見ている。2.我々は数々の会社を訪問させていただいている。3.どうしても欠点から見てしまう。です。あなたは友人の家にいったとき、「なんか変な臭いがするぞ」と感じたことはありませんか?それと同じです。
我々の仕事はISO・VE・IT等ツールを使って、もうかる体質の企業作りにご協力することです。その手法の一つとして、企業の欠点を探しなくす事があります。その一方、企業のよい点をさらに伸ばすことも重要な仕事です。現在のような厳しい世の中になってくると、場合によっては欠点を置き去りにしてでもよい点を伸ばしたほうが好結果を生むケースも多々あるのです。
ここで皆さんに問いかけます。自分のよい点と欠点を思い浮かべてください。さて、どちらがたくさん思い浮かびましたか?また、どちらが印象強く思い浮かびましたか?
次にあなたはどちらを選びますか?欠点を直すことに力を入れる、よい点を伸ばすことに力を入れる、いかがでしょうか。最後に、欠点を直すこととよい点を伸ばすこと、どちらがパワーを使いますか。
次の問いかけです。あなたの部下を思い出してください。あなたの部下のよい点、欠点どちらがたくさん思い浮かびますか?また、どちらが印象強く思い浮かびましたか?
自分のよい点は自分ではなかなか思い浮かばないものです。そして、他人のよい点もたくさんは見えないものです。欠点を直すアドバイスは重要なことです。それと同じくよい点を伸ばすアドバイスも重要です。これは、他人に対しても自分に対してもです。
今回は、自分に言い聞かせるためにも、この文書を作成しました。
writer
井手 徹 (建築屋・建築士)
主な仕事
情報化支援/ISO取得支援
カンタンプロフィール
オフはバイク乗り。凝り性